坐骨神経痛の鍼灸施術

坐骨神経痛の鍼

当院の鍼灸治療での坐骨神経痛(梨状筋症候群)への施術では、臀部(おしり)のツボやコリを見つけ、鍼を入れて電流を流すことにより血行を良くし、梨状筋の緊張を緩めることがメインになります。

また、鍼を刺すことで痛みを感じにくくする、麻酔作用も促します。

坐骨神経痛について

坐骨神経は、人体で最大の神経です。腰から出ておしりの後ろを通り、大腿の後面から足にかけて広く分布します。その坐骨神経の分布域に痛みやしびれ・感覚異常などがある症状を坐骨神経痛といいます。坐骨神経が走行途中で圧迫されて、このような症状が現れると考えられています。どの部分で坐骨神経が圧迫されているのかを手技や検査で探り、原因を取り除いていきます。

坐骨神経痛の原因となる疾患

椎間板ヘルニア

坐骨神経痛を起こす原因として最も多いのがこれです。

背骨は24個の骨と仙骨・尾骨が、椎間板や関節、靭帯によって連結されて構成されています。椎間板の中央には髄核という弾力性のあるボールがあり、動作にともなう体重の負荷を分散しています。

ちから仕事や激しいスポーツなどで椎間板が損傷すると、弾力性のある髄核が椎間板の外に押し出されることがあり、これを椎間板ヘルニアと言います。

坐骨神経が出ている下部の腰椎でこれが起き、とびだした髄核が坐骨神経を圧迫し、坐骨神経痛が発症します。

この場合の治療は、坐骨神経の道筋にあわせて鍼灸とマッサージをおこない、興奮した神経を落ち着かせることで痛みを抑えます。同時に、ヘルニアが起こっている腰全体の代謝が上がるように鍼灸と手技で刺激し、とびだした髄核が不要物として処理・吸収される「人体の正常な反応」がスムーズに進んでいくよう促します。本来であれば自己治癒力として自然と治るものなのですが、日常的なストレスや負荷によって修復力が低下しているため、鍼灸で刺激をしていきます。

梨状筋症候群

臀部・おしりの丸みは、皮下脂肪や筋肉によって形づくられています。

坐骨神経は臀部(お尻)の後ろを通るとき、筋肉や靭帯などの間、狭い隙間をすり抜け、あしのほうへ分布されています。

梨状筋はおしりのかなり深い部分にあり股関節を外旋させる仕事をしていますが、疲労して硬くなったり、炎症を起こし腫れたりすると、坐骨神経を圧迫して痛みを誘発してしまうことがあります。女性に特に多く、坐骨神経と梨状筋が交わる臀部の中央を指で押すと、痛みや痺れを感じるのが特徴です。

治療では、梨状筋のコリや炎症をやわらげることを目的に、おしりの筋肉だけでなく、関連のある腰や脚の筋肉も刺激していきます。痛みが軽くなってきたら、ストレッチや軽い運動も効果的です。

脊柱管狭窄症

加齢や、激しいスポーツを続けたりすることで、背骨を構成する椎間板・骨は変形してしまいます。

変形によって背骨の正常な湾曲が変化したり、腰椎どうしの結合がずれたりすると、腰椎と腰椎の間から出ている「坐骨神経」が圧迫されてしまうことがあります。

これを脊柱管狭窄症といいます。ヘルニアと違い、両足に坐骨神経痛が出ることもあるやっかいな難知性の疾患です。歩いていると腰から足にかけて痛みやしびれ・脱力などが起こり歩けなくなる、前屈した前屈み姿勢で休憩をとると楽になるという特徴があります(間欠性はこう)。

治療の方法はヘルニアと同じですが、変形してしまった骨をもとに戻すには大変時間がかかるため、筋肉や神経などの健康を保つために、継続的な治療が必要となります。