自律神経失調症

症例 30代前半女性 ストレス・PMS(月経前症候群)

ストレス PMS(月経前症候群) 30代前半女性


夕方の時間、仕事を久しぶりに早上がりして来院いただきました。

以前にも首や肩のこりと美容鍼で通院いただいていましたが、コロナ以来のご来院となりました。

期間が空いても、こうやってご相談に来ていただけるのは治療家として本当に幸せなことです。



主訴

生理前の腹痛、足の冷えとのぼせ。

日常からある首こり肩こり、ひどい時は頭痛も。

ストレスによるだるさ・虚脱感・やる気の低下・不安感

来院前にLINEよりご相談いただいていていましたが、細かなニュアンスや話すときの表情やテンションも知りたかったため、補足とともにお話を伺います。


お話をお伺いすると、仕事で重要なポストを任されることになった。さらにそこにコロナがぶつかってしまい、二転三転する日々の対応、上司と部下の間に挟まれ、もう泣きたいです。。。との事。

仕事でのストレスが増えてから、明らかに体調は悪くなり、以前あった症状もみるみる悪化していったようです。ここ半年間の出来事でした。


以前から責任感が強く、しっかり印象の強かったお客様だけに、期待に応えようと奔走されていたのだろうと予想できます。

お身体もチェックし、本人の自覚と実際に身体で起きていることの差異がないかをチェックします。


診察と施術

腹部の冷え、拍動が強く、脈も早く浅い。腹部圧痛はありません。

生理前の2〜3日間が一番症状が強く、腹部と腰の鈍痛とだるさがあります。波があり、強い時はうずくまってしまいます。

ここまでは歩きではなく車できたとのことで、安静時でも常時この状態のようです。季肋部(肋骨の下部分)、背中の冷え。特に仙椎から腰椎下部の冷えが強く、軽く汗ばんでいます。

後頭部から首と背中の上部・肩も硬く、知覚も鈍麻しています。私が触ってもあまり感覚がないようです。

肌質にも変化があり、赤い大きめの吹き出物が顔面部と背中側にも少し出ています。

⇨いわゆる「ハイ」の状態です。交感神経が優位になり、常時アクセルを踏んでいるような、興奮している状態です。気が逆上し、末端の血流が低下して冷えが強くなります。交感神経の作用により感覚も感じないようになっていますが、疲労は蓄積しています。このまま溜まっていけば、どこかでパンクすることになります。ストレス過多による肌質の変化(乾燥やザラザラした質感・赤ニキビ)も見られています。

⇨基本的には自律神経へアプローチする方向で施術を行いました。指圧あんま手技はゆっくりと、できるだけ力が抜けるように。今回は特に緊張も強かったため、時間をかけました。

そこから鍼です。硬さのある頸椎から胸椎上部の脇、頸部から肩上部、棘上下筋、下半身では腎兪周辺と仙骨付近を念入りに、腰椎の夾脊穴へ鍼と石灸をかけます。子宮へ分布する神経は、主に腰から出ていますので、特に時間をかけていきます。

横向きで肩甲骨剥がし、下半身のストレッチも加え、全身の動きも調整していきます。

仰向けでは顔面部、特に頭部と額に電気鍼をかけます。軽く動きを出し、痛みのない範囲で行います。

婦人科への通院がなかったことから、受診をオススメしました。0−30代の子宮内膜症はかなりポピュラーになってきているように感じます。身近な疾患だからこそ、知識とご自身の感覚を大切にされ、うまく付き合っていくことが重要だと思います。

生理前になるといつもよりイライラしやすくなったり、食欲が増したり、にきびが増えたり、眠くなったりすることはありませんか?

その症状はもしかするとPMS(月経前症候群)かもしれません。

PMSチェックリスト

□ 下腹部の痛み

□ 胸の張り・痛み

□ ニキビ・シミなどの肌トラブル

□ むくみ

□ 頭痛

□ めまい

□ イライラなどの情緒不安定

□ 過食傾向

□ 眠気

□ 睡眠障害

□ 注意力の低下

PMSは生理の3~10日ほど前に現れることが多く、

排卵後2週間続く人もいれば、生理前の2~3日だけ現れるという人もいます。

症状に個人差が多いことや、生理が始まると症状が軽快していく人が多いのが特徴です。



婦人科系疾患の中で、月経周期が乱れやすい、経血量が少ないことがある、あるいは経血に赤黒い塊が混じっていたりすることがある、月経痛が酷いなどの悩みを抱えている方は、多くの場合、同時に慢性的な冷え、頭痛や肩こり、疲労感といった悩みも抱えていることが多いかと思われます。これは、体内の血液が瘀血(おけつ/流れが悪く滞りがちな血液)となり、血流の悪化に伴って血液が栄養やホルモンを全身に十分届けて細胞を養うことができなくなっていることに起因する場合が多くあります。東洋医学で言う五臓六腑の五臓、すなわち肝・心・脾・肺・腎の内、蔵血(血液の貯蔵と血流量の調節をすること)をつかさどる「肝」に失調があると、
「肝」が十分な栄養ある血液を蓄えられなくなってしまいます。また、「肝」は疏泄(そせつ)という、気血(きけつ/東洋医学における人体の基本と考えられるもので、血液と、気すなわち体内の生気エネルギーのこと)をスムーズに体内に送り出し循環させる作用もつかさどっているので、その調子が整っていない状態では必要な栄養素が体内に十分届かなくなります。

このような場合、できるだけストレスを避け、規則正しい食事や睡眠で生活リズムを整えながら、鍼灸治療で体を温めて血行を促進し、血瘀(けつお/血液の循環が悪い状態のこと)の状態を改善させ、血がしっかりと栄養やホルモンを全身に運んでくれる状態にすることが大切です。

症例 20代なかば女性/自律神経失調症

※患者様から許可を頂いた症例のみを掲載しています。


同じような症状の患者が続いたため、一例を共有します。梅雨時期は身体にこたえますね。
今回の患者さんは、雨が続く6月にお見えになりました。もともと天気に体調が左右されやすいとの事。

主訴として、
・考えがまとまらない
・やる気が起きない
・首のこり
・背中のこり


上記を予約時に入力頂いていました。特に、今まででは考えられないようなミスが増えてしまった、という点では特に戸惑いがあるようです。

ネットで調べると、病院では診断や治療もイマイチ効果が無いとの記事があり、コリの症状もあったため、当院を受診された。もともと学生時代には鍼灸接骨院へ通っていたこともあり、鍼灸は馴染みがあったのこと。

問診では、主訴の中でも「考えがまとまらない」という未だかつて味わったことのない感覚に、戸惑いが強くあるとのことでした。
新しく覚える仕事も、聞いてもすぐに忘れてしまう(メモを取る必要すらなかったものも忘れてしまう)、いままでできていた仕事も手が止まってしまう事もあったようです。
また、首や背中のコリは学生時代(中学)からあるようで、つらいのは通常運転、仕事をしているうちは仕方がないと思っている、とお話しいただきました。


ご本人にお話を聞いて、今度は身体を触診し様子を見ていきます。


施術


背骨に近いところから手技でゆるめつつ、かたさが残る部分に鍼を入れていきます。今回は、脊柱脇にある夾脊穴をメインに刺入していきました。脊柱から身体へ神経が走っているため、ここの硬さは特に重要視しています。肋骨(あばらぼね)と背骨がつく部分でもあり、ここの硬さが呼吸運動を阻害します。どこが痛いわけでもないけど、だるくてやる気が起きない、という場合は多々ここに原因があるとみています。深いところですから、指圧だけでゆるめるのは至難のわざです。石灸も使って温めます。
加えて、首〜頭部のつながりもしっかりゆるめます。数カ所を浅く鍼で刺激。今回は重さが残らないよう、細めの鍼でしていきました。その流れで側頭部、顔面の額からこめかみまで、身体に意識させるよう刺激していきます。ストレスがかかっている状態が続くと、例えば眉間にシワが寄るように頭部顔面に力みが入ります。顔面は自律神経支配ですので、いずれ疲労がたたってくるわけです。見逃したくない部分です。


結果


治療後は、身体の軽さを感じるとの事。鍼の違和感も残りませんでした。表情が明るくなり、目線も合うようになっています。首まわりも動かしやすいとの事ですが、可動域の変化はそこまでありません。筋肉の強い硬さというより、普段無意識的に筋緊張が起きている証拠です。2週に1度のペースを目安に来院頂くようにお話しし、不安であれば初めの1ヶ月程度は週一できれば尚良いですとお伝えしました。



考察

脈が細く浅く、拍動も早い。手汗と足汗も少しあり、冷えが手足からお腹と背中の上部まであります。脊柱の両側に手を添えると、ほとんど指が入りません。
肩甲骨周りはかなり柔らかく、深層から固まってきているようです。こういった場合は、心理的なストレスからきている事が多いようです。特に頚部から胸部までの硬さが強く、首の可動域も狭い。胸椎と肋骨の間もギッチリと詰まっており、これでは呼吸が浅くなって自律神経にも負担がかかります。呼吸は常時行われますから、四六時中常にストレスを感じているようなものです。

「やる気が起きない」「考えがまとまらない」という症状から、ひとつに「統合失調症」を頭に浮かべました。思考や感情を統合させる(まとめる)脳の機能が障害される疾患です。症状にも様々ありますが、特に認知機能障害が特に目立つようです。「やる気が出ない」という陰性症状も見られます。
ご本人曰く、調子には波があるとの事。悪化の方に振れる可能性も少なくありませんので、念のため病院も受診して頂くように伝えます。

当院に来院後、心療内科を受診。自律神経失調症の診断を受けたそうです。もともと学生時代には鍼灸接骨院へ通っていたこともあり、鍼灸は馴染みがあったのこと。

メンタル疾患の診断と病名

メンタル疾患、つまりこころの病気と一口に言っても種類も症状も多種多様です。こころの病気を診て、病名をくだす方法は、からだの疾患とは考え方が異なっているからです。


からだの疾患の場合、病名は臓器(内臓や筋肉など)の種類や部位、原因によって分類されることが多いのですが、こころの疾患の場合は、脳というひとつの臓器をメインに捉えており、さらに原因がわかっていない疾患が多い特徴があります。


そのために、最近では「特徴となる症状」と「持続期間」および「それによる生活上の支障がどの程度あるか」を中心に診断名をつける方向に変わって来ました。こころの疾患についてのおもな判断基準として、米国精神医学会が策定した【DSM】、世界保健機関(WHO)によってつくられた【ICD(国際疾病分類)】があり、日本でも多く用いられています。こうした診断の基準では、原因は問わないことがセオリーとなっています。


社会的なストレス・環境の状態も含めて総合的に診断することは治療方針を決めるのにとても重要です。

【うつ病】という診断がついた場合でも、ストレスがきっかけの場合もあれば、体の病気と関係していることもあります。多種多様な背景をからだから読み取りつつ、お話を伺いつつ、原因と向き合うことができるのは我々鍼灸師の強みであると考えています。

自律神経失調症|仙台の鍼灸院【大沼鍼灸】

病院で検査をしても異常が見つからない。でも身体の調子がいつも悪い。

それは自律神経の乱れが影響かもしれません。

自律神経が乱れると不眠や疲れ、頭痛、風邪をひきやすいなどの免疫力の低下、月経不順、動悸、冷え、のぼせなど様々な症状があらわれてしまいます。鍼灸治療により自律神経のバランスを整え、今までの症状を改善するとともにストレスに負けない身体を作ることが可能です。

大沼鍼灸の自律神経鍼灸治療

仰向けでお腹や手足の硬さ、痛みの反応を見て、手足や頭、お腹、背中、顔の自律神経に効くツボを選択して治療します。冷えが強く見られる場合は石灸を使い、芯までやわらかく温めていきます。西洋医学と東洋医学、どちらからもお身体をみることで、患者様にぴったりの施術を選定します。

自律神経の鍼を受ける方は鍼初体験の方も多く、刺激の調整が必須です。も合わせて行います。できるだけ患者様の不安を払拭できたらと思いますので、問診の際には遠慮なくお申し付けください。