精神症状

パニック発作・不安発作と、身体への支援

突然、強い恐怖と身体の症状が起こる

急に心臓が激しく打ち、息が苦しくなる。めまいや震えが起きて、「このまま倒れるのではないか」と怖くなる。パニック発作では、このような強い恐怖や不快感と、身体の症状が急に現れます。

初めて起きた強い動悸や息苦しさ、これまでと違う胸の痛みは、パニック発作と自己判断せず、医療機関で確認してください。心臓や呼吸器などの病気でも似た症状が起こります。強い胸痛や呼吸困難、意識の異常があるときは、119番へ連絡してください。

発作と、パニック障害の違い

パニック発作を経験したことだけで、パニック障害と診断されるわけではありません。予期しない発作を繰り返し、次の発作への心配や、外出を避けるなどの行動の変化が続く場合に、パニック障害が検討されます。

「不安発作」という言葉も使われますが、何を指しているかは人によって異なります。相談するときは、名称よりも、起きた症状や続いた時間、起こりやすい場面を伝えると状況が伝わります。

医療機関での治療

パニック障害には、認知行動療法などの心理療法や薬物療法が用いられます。発作への受け止め方や行動を扱う治療も、本人の状態に合わせて専門家と進めます。症状を起こす練習を、自己判断で無理に行う必要はありません。

通院中の方は、治療を続けながら経過を担当の医師に伝えてください。薬の調整や中止も、医師と相談して行います。

身体のつらさを、当院で相談する

私は、不安も身体から立ち上がるものと考えています。頭では大丈夫だと理解していても、発作が起きるかもしれない場面で、身体を固めて待ち続けることがあります。その反応を、意志の弱さや理解不足だけで説明できません。

当院では、受けている診断や治療を伺い、身体のこわばりや呼吸のしづらさ、眠りや日常の困りごとを相談します。いつ、どこで身構えるのか、そのときの人間関係や生活の負担も含めて考えます。

施術は、刺激の強さや感じ方を確認しながら進めます。身体の感覚に注意を向けると不安が強まる方もいるため、無理に深く呼吸したり、感覚に集中したりすることは求めません。鍼への怖さや、横になると落ち着かないといったこともお話しください。

鍼灸と身体への支援を組み合わせれば発作を克服できる、と約束はできません。どのつらさを軽くすることを目指すか、医療機関での治療とどう併用するかを相談し、生活への影響も見ながら進めていきます。

参考:NIMHのパニック障害の説明NCCIHの不安と補完的な健康法の研究紹介

パニック障害・不安障害

パニック障害・不安障害と、身体への支援

突然、激しい動悸や息苦しさが起きる。「このまま倒れるのではないか」と怖くなる。発作が治まったあとも、また起きることが心配で、電車や外出を避けるようになることがあります。

パニック障害では、予期しないパニック発作が繰り返され、その後の心配や行動の変化が生活に影響します。一度発作らしい症状が起きただけで、パニック障害と決まるわけではありません。似た症状を起こす身体の病気も含め、医療機関で確認することが大切です。NIMHのパニック障害の説明

医療機関での治療と、当院での相談

パニック障害の治療には、認知行動療法などの心理療法や薬物療法が用いられます。症状や本人の希望に応じて、治療を選び、経過を見ながら調整していきます。

当院では、診断や治療の内容を伺います。身体のこわばりや呼吸のしづらさ、眠りや日常の困りごとについても相談を受けています。鍼灸と当院の支援を組み合わせれば治る、と約束するものではありません。

不安が生じている身体を、知っていく

私は、不安も身体から立ち上がるものと考えています。「怖がらなくていい」と説明できても、発作に備えて身体を固めてしまうことがあります。それを意志の弱さや、説明を理解していないせいにはしたくありません。

いつ、どこで身構えるのか。どんな姿勢で待ち続け、何に注意を向けているのか。人との関係や日々の負担も含めて伺います。身体の反応と、その人が置かれた状況を切り離さずに考えるためです。

施術では、刺激の強さや身体の感じ方を確認しながら進めます。身体を感じること自体が不安を強める方もいるので、無理に深く呼吸したり、感覚に集中したりすることを求めません。

我慢や自己判断を増やさないために

初めての強い動悸や息苦しさ、これまでと違う胸の痛みなどを、パニック発作だと自己判断しないでください。必要な医療機関での確認を優先します。

すでに治療を受けている方は、薬を自己判断で減らしたり中止したりせず、担当の医師とご相談ください。当院での支援についても、どのつらさを軽くすることを目指し、どんな変化を見ていくかを一緒に整理します。

不安があるままでも、相談を始められます。鍼が怖い、横になるのが落ち着かないなど、施術を受けるうえで気になることからお話しください。

過食・拒食・異食(かしょく・きょしょく・いしょく)

制御が効かない食の異常、摂食障害。

過食・拒食・異食はそれぞれ単独の症状でも拒食症、過食症、異食症と疾患名でも呼ばれます。

うつ病、躁うつ病(双極性障害)で見られますが、異食症は主に認知症などで見られます。

過食症では、むちゃ食いとも呼ばれる気晴らしで大量に食事をしてしまう事、体がついてこずに後に吐き戻しがある事が挙げられています。

拒食症では、太ることに対しての恐怖心から吐き戻しを意図的に行なったり、異常に体重の増加に対して不安があります。

これらは衝動によって行動されるものであって、本人の意思では制御できないと言う点が辛いところです。周囲にこの症状で悩まれている方がいる場合は、温かい声がけをできると良いでしょう。

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自殺・自傷行為と、死にたい気持ちへの対応

自傷行為と、死にたい気持ち

自傷行為は、自分の身体を意図的に傷つける行為です。強い苦痛をなんとかしのごうとして行う人もいます。死ぬつもりがある場合と、そうでない場合があり、行為だけで気持ちを決めつけることはできません。

「死にたい」「消えてしまいたい」といった気持ちは、希死念慮と呼ばれます。背景には、病気のほかに、人間関係や生活上の困難などが重なることもあります。本人が何に苦しみ、今どのような助けを必要としているかを聞くことが大切です。

身近な人から打ち明けられたら

驚いたり心配になったりしても、まずは責めずに話を聞いてください。すぐに理由を問い詰めるより、「話してくれてありがとう」「今、何がいちばんつらい?」と声をかけ、本人の話を聞きます。

そのうえで、かかりつけの医療機関や相談窓口につながる手助けをしてください。今にも自分を傷つけそうなときは、一人にせず、周囲の人にも助けを求めます。支える人だけで対応を抱え込む必要はありません。

緊急時の連絡先

すでに重いけがをしている、意識がはっきりしないなど、命や身体に危険があるときは119番へ連絡してください。

宮城県で、夜間や休日に精神科を緊急に受診すべきか迷うときは、精神医療相談窓口の022-384-2811へ相談できます。受付は毎日17時から翌朝9時までと、土曜・日曜・休日の9時から17時までです。通院中の方は、まずかかりつけの医療機関へ連絡してください。

電話やSNSで気持ちを相談できる窓口は、厚生労働省の「まもろうよ こころ」にもまとまっています。宮城県の精神科救急の詳しい案内は、下のボタンから確認できます。

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操作(そうさ)

自分の有利な方へコントロールしようとする

対人操作とも言われます。自分の欲求を満たすために人をコントロールしようとしたり、巻き込んだりする事を言います。自分に対して信頼を持たせるために、他人の悪口やデマを広げて人の関係を壊そうとしたりするなどです。

自分を見捨てられたくない、好意を持って欲しい、信頼されたいという欲求から、他人を木津つけてしまうような行動を起こしてしまう、境界性パーソナリティ障害に多く見られます。

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カタトニア(緊張病)とは

動きや発話、周囲への反応が大きく変わる状態

カタトニアは緊張病とも呼ばれ、動きや発話、周囲への反応に特徴的な変化が現れる症候群です。ほとんど動かず話さなくなる場合も、強い興奮が現れる場合もあります。単に気持ちが緊張しているという意味ではありません。

統合失調症や気分障害のほか、身体の病気や薬などが関わる場合もあり、原因を医療機関で調べる必要があります。

代表的な症状

昏迷・無言

自分からの動きや発話が著しく減り、呼びかけにも反応しにくくなります。

拒絶症

指示に反応しなかったり、抵抗するような動きが見られたりします。本人が意地を張っていると決めつけず、症状として診察を受ける必要があります。

常同症・反響症状

同じ動きを繰り返すことを常同症と呼びます。他人の言葉を繰り返す反響言語や、他人の動きをまねる反響動作も見られます。

命令自動症

言われたことに、機械的に従うような反応が現れます。

カタレプシー・蝋屈症

他者によって動かされた姿勢をそのまま保つ状態は、カタレプシーと呼ばれます。手足を動かそうとした際に、軽い抵抗が続く蝋屈症とは区別されます。医療者が診察で確認する症状です。

衒奇症

普段の動作が、不自然に大げさな形で現れます。見た目の印象から、わざと演じていると判断できません。

食べられない、動けない状態を放置しない

食事や水分を取れない、長時間動けない状態では、脱水などの身体の問題も起きます。早急に医療機関へ相談してください。急に反応がなくなった、発熱を伴い状態が悪いなどの場合は、救急医療につなぐ必要があります。

参考:日本精神病理学会「緊張病症候群」UCLのカタトニアの診断解説

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昏迷とは。反応が乏しいときの理解と対応

自分から動くことや話すことが、著しく難しくなる

精神科でいう昏迷は、意識が保たれていても、自分からの動きや発話が著しく乏しくなり、周囲への反応がほとんど見られなくなる状態を指します。緊張病や重いうつ状態などで現れることがあります。程度が比較的軽い状態を、亜昏迷と呼ぶこともあります。

ただし、反応が乏しい人を見ただけで、意識が保たれているか、何が起きているかを判断できません。意識障害を伴う身体の病気などもあるため、医療機関での診察が必要です。急に呼びかけに反応しなくなったときは、119番へ連絡してください。

返事がなくても、本人に向けて話す

後になって、その間の声や出来事を覚えている人もいます。一方で、どの程度聞こえているか、記憶に残るかは一律には言えません。

返事をしないことを、無視や拒否と決めつけず、本人に分かる言葉で、これからすることを落ち着いて伝えてください。食事や水分を取れているかも、医療者に伝える大切な情報です。

参考:日本精神病理学会「昏迷」英国王立精神科医学会のカタトニアの説明

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無為(むい)

意欲が湧かず、何もする気にならない。

無為は、何かをやりたい気持ちになるわけでもなく、かつ暇や焦りも感じないという状態を言います。

1日の大半をただ何も考えずに過ごしているようになりますが、本人は暇でも辛くもないと言います。強がりや寂しさからではなく、全てに興味がなくなってしまうという表現が近いかもしれません。

統合失調症が進行してくると、こういった症状が強くなり、自閉とも呼ばれます。

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ひきこもり

自分のスペースにひきこもる

多くの精神疾患でみられる、自分の家や部屋へひきこもってしまう状態です。

厚生労働省では、

仕事や学校へ行かず、友人や家族とのコミュケーションもとらず、

6ヶ月以上引きこもりの状態が続くこと

をひきこもりの定義としています。

精神疾患と診断されなくとも、上記の定義に当てはまればひきこもりとなりますが、実はこれ「行動」ですので、その背景に何があるのか、のほうが重要です。

他者とのコミュニケーションに恐怖心や不安があるために引きこもりに至る場合もあれば、

他者への興味関心が著しく低下する事で、外に出なくても良い⇨ひきこもりとなる事もあります。

好きなことが部屋で完結する人であれば、ほとんど家にいて、ご飯を食べるとき、歯磨き粉が切れた時だけ外出する、なんて人もいますので、他人の物差しで一方的に図るのも気をつけなければいけません。

介入が必要な場合は、本人(家族)がその生活に満足していない場合に限り、やはり本人の気持ちを知らずしては、逆に本人を苦しめてしまうことになります。

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気分倒錯(きぶんとうさく)

悲しいのに、笑ってしまう。

気分倒錯は、事象に対して抱く感情とは違った感情が表現されてしまう症状です。

つらいと心から思っていても、何故か笑ってしまったりと、自分でも感情がストレートに出ないことが理解できず、苦しいと感じています。楽しい時に泣いてしまったり、というよりは、泣きたいのに泣けない、辛い時に辛い顔ができない、などのパターンが多いように思います。

お葬式のしめやかな雰囲気やピリッとしまった雰囲気が引き金になり、場に相応しくない感情が表出されて悩む方も多いです。

さらにこの症状の困ったところは、他者からの目が気になって余計にストレスが増えてしまう点でしょう。なぜあの人笑ってられるの?かなりしんどいと思ったけど、大丈夫そうな顔をしているな?と間違った理解をされることで、理解してくれる周囲の人間が少なくなりがちで、それが怖くて孤立する事もあります。

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両価性(りょうかせい)

さみしいけれど、ひとりになりたい。

怖いけれど、立ち向かいたい。

両価性は、アンビバレンスともいいます。愛情と憎しみが同時にあるように、ひとつの物事に対して相反する二つの感情を抱くことをいいます。

統合失調症で多く見られる症状ですが、タイトルで書いた通り、精神疾患のない方でも普通にあり得る感情です。

疾患の有無で違うのは、疾患の無い方は考えたり行動することで出口が見える事が多いですが、疾患のある方は出口が見えてきません。長く悩んでいるうちに疲弊し、大きなストレスを抱えることになってしまいます。

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感情失禁(かんじょうしっきん)

感情がとめられない

感情失禁は、感情が抑えられず、少しのきっかけでも泣いたり怒ったり笑ったりしてしまう症状をいいます。

血管性認知症で見られます。

多くの人が、「歳とると涙もろくなるわ…」と感じることがあるとは思いますが、それが急に来る感じです。高齢の方が急に涙脆くなったりしたら、脳血管障害を疑う材料の一つとして、専門家と共有できれば良いでしょう。

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多幸(たこう)

いつでも笑顔で幸せ

多幸とは、病的に嬉しい気分のことを言います。アルツハイマー型認知症で多く見られますが、いつもニコニコしている高齢者を想像していただければわかるかもしれません。

理由なくニコニコしており、幸せな気分を感じています。

私自信、以前老人ホームやデイサービスでリハビリの仕事をしていましたので、「多幸感」を持つ認知症の方にあう機会も少なくありませんでした。とにかくいつもニコニコで、遠くから接している分には良いのですが、コミュニケーションをとるのは難しく、円滑な社会生活を送るのは難しい場合が多い印象です。

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不安(ふあん)

ぼんやりとした不快な気持ち

不安とは、対象がはっきりしないものに対してのイライラや不快気持ちを持つことをいいます。

未来、など抽象的な対象に対して用いるのが「不安」、

はっきりとした対象がある場合には、「恐怖」を用います。

不安な気持ちは誰しもが日常的に感じている感情ですが、この不安に付随してくる「イライラ」「不眠」「疲れやすい」「集中できない」などの方が厄介です。

逆にいえば、上記のような振る舞いが目立つ人は、影に「不安」な気持ちが隠されているのかもしれません。

大沼鍼灸でも、鍼灸の施術時にお話をお伺いしていると、「本人も気づいていない不安のもと」を感じる時があります。鍼灸治療を通してその不安に思っている事を一緒にあげていく事もあります。

不安な気持ちを自分で認識し、整理をつけることができるものです。

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離人症(りじんしょう)

世界が現実でないように感じる

離人症とは、体が自分自身ではないように感じてしまう症状です。

現実感がなく、画質の悪いモニターを見ているように世界を通して見ているような感覚という方もいました。

人によっては、魂だけがスゥーっと抜けて、高いところから自分を見ているような感覚があるようです。

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誇大妄想とは。強い自信との違い

能力や地位について、現実と食い違う確信が続く

誇大妄想は、自分には並外れた能力や財産、特別な地位や使命があると、現実と食い違う確信を持つ妄想です。強い自信があることや、大きな目標を語ることだけで判断されるものではありません。

躁状態や統合失調症などで現れる場合があります。診察では、発言の内容に加え、気分や睡眠、行動の変化と、その経過が検討されます。

どのような内容があるか

たとえば、実際の状況とは異なるのに、自分は特別な権力者の子孫だと確信する場合は「血統妄想」と呼ばれます。神などの特別な存在としての身分や使命を確信する「宗教妄想」もあります。ただし、信仰の内容だけで判断せず、その人が属する文化や宗教の背景を考慮します。

自分はどんな病気にもかからないと確信するなど、身体の強さについて現れることもあります。診察では、実際の体調や受診・服薬の状況とあわせて検討します。

身近な人が対応するとき

話を頭から否定して言い争ったり、おだてて確信を強めたりする対応は避けます。落ち着いて話を聞きながら、睡眠や食事が取れているか、お金の使い方や行動が急に変わっていないかに注意を向けてください。

本人が何をしようとしているのか、周囲が何を心配しているのかを具体的に整理すると、医療機関への相談で状況を伝えやすくなります。身近な人だけで判断や対応を抱えず、かかりつけの医療機関や地域の精神保健の相談窓口に相談してください。

参考:日本精神病理学会「誇大妄想」NIMHの精神病症状の説明

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微小妄想とは。心気・貧困・罪業の妄想について

自分の価値や暮らしについて、強い否定的な確信が続く

微小妄想は、自分には価値がない、生きている意味がないといった考えが、妄想として続く状態を指します。自信を失ったり、自分を責めたりすることすべてを、妄想と呼ぶわけではありません。本人の確信の強さと現実との食い違いを、ほかの症状も含めて医師が判断します。

広い意味では、次のような妄想も含めて使われる言葉です。うつ病などで生じることがあります。

心気妄想

重い病気にかかっている、身体が取り返しのつかない状態になっていると確信する妄想です。身体の病気を心配することとは区別され、診察や検査の結果と、本人がどのように受け止めているかを踏まえて判断します。

貧困妄想

実際の生活状況や資産と食い違っていても、お金がなくなり、生きていけないと確信する妄想です。現実に家計が苦しいときの不安や相談は、その事情に即して支える必要があります。

罪業妄想・罪責妄想

取り返しのつかない罪や過ちを犯したと確信し、自分を責め続ける妄想です。実際の出来事に比べて著しく重い罪と感じたり、具体的な過失がないのに罰を受けるべきだと感じたりします。

身近な人にできること

本人がどれほど不安で、何を苦痛に感じているかを聞いてください。安心させようと説得を繰り返すより、今の生活を支えながら、医療機関へ相談する手助けをします。

眠れない、食べられない、自分を傷つけたいと話すなどの変化があれば、早めにかかりつけの医療機関へ連絡してください。声をかけるだけで解決しようとせず、治療や生活上の支援につなげることが大切です。

参考:日本精神病理学会「微小妄想」同「罪責妄想」

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妄想とは。一次妄想・二次妄想の違い

妄想という言葉の意味

精神医学でいう妄想は、事実や周囲の説明と食い違っていても、本人には強い確信として続く考えを指します。誰かと意見が違うことや、一般的でない信念を持つことだけでは判断できません。医師は、その人の文化や生活の背景、ほかの症状も含めて診察します。

本人にとっては確かなことなので、周囲から否定されると、理解してもらえないつらさや不信感が強まる場合があります。話の内容を論破しようとするより、何が怖いのか、眠れているか、生活で何に困っているかを聞くことが相談の入り口になります。

一次妄想と二次妄想

この二つは、考えの内容ではなく、その考えがどのように生じたかに注目する区別です。一次妄想では、本人の気分やそれまでの体験をたどっても、なぜその確信が生じたかを通常の心理のつながりとして理解しにくいとされます。

二次妄想は、不安や抑うつ、幻覚などとの関係から、考えが生じた経緯をある程度理解できるものです。経緯を理解できることと、その内容が事実であることは別です。

一次妄想を考えるうえでは、次のような体験の違いが説明されます。

妄想気分

周囲にただならぬ変化が起きていて、自分にも関係していると感じます。ただ、何が起きているのかは、まだはっきりしません。不気味さや不安を伴うことがあります。世界が崩れてしまうように感じる「世界没落体験」も、この文脈で述べられます。

妄想知覚

実際に見たり聞いたりしたものに、周囲には理解しにくい特別な意味が結びつきます。知覚した対象そのものと、それが自分に何を意味するかという確信を分けて捉える用語です。

妄想着想

ある考えが突然浮かび、最初から確かなこととして感じられる体験です。きっかけなく生じる場合も、何かを見聞きした際に生じる場合もあります。

これらは診察で体験を詳しく理解するための用語です。身近な人が分類を決める必要はありません。気になる変化が続くときは、本人の困りごとと、いつからどんな様子が見られるかを医療機関へ伝えてください。

参考:日本精神病理学会「妄想」。各用語の説明へも同ページから進めます。

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作為思考・思考吹入・思考伝播とは

自分の考えを、誰かに動かされているように感じる

作為思考とは、自分の考えが他人や外部の力によって作られたり、操られたりしていると感じる体験です。自分で考えているという感覚が失われ、誰かに考えさせられているように感じます。

こうした「させられている」という体験は、考えだけでなく、感情や身体の動きなどにも生じます。これらを含めて作為体験、またはさせられ体験と呼びます。

思考吹入

自分のものではない考えを、外から頭の中へ入れられたと感じる体験です。他人の話に影響されて意見が変わることとは違い、考えそのものが自分に入ってきたように体験されます。

思考伝播

口に出していない自分の考えが、外へ伝わって他人に知られていると感じる体験です。心の中にとどめているつもりのことまで知られてしまうと感じ、周囲の人に会うのがつらくなることがあります。

いずれも、外部から実際に操作されたり、考えが他人へ伝わったりしているという意味ではありません。本人がどのように体験しているかを説明する医学用語です。

相談するときは、何を考えたかに加えて、「自分の考えとは思えない」「誰かに知られるのが怖い」など、困っている感覚を伝えてください。精神科やかかりつけの医療機関で、睡眠や体調の変化も含めて相談できます。

参考:日本精神病理学会の考想被影響体験の分類玉川大学の談話会報告にある思考吹入・させられ体験の説明

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強迫観念(きょうはくかんねん)

自分でも、「おかしい」と感じている。

強迫観念とは、ある物事に対しての考えや意識が合理的でない、ということを自覚してもなお拭えない、そんな状態を指します。

「家の電気を消してきただろうか?」と思いながらも、消した記憶もあるし、絶対消したはず。だけれど気になってしまう。本人もこんなに気にしすぎるなんて、私はおかしいの?と不安な気持ちでいっぱいになってしまいます。

また、実際に電気を消したかどうかを確かめに家に帰る、すなわち行為を伴うものは強迫行為と言います。

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